« 甘かった。 | トップページ | コツコツと、信頼を築き上げる。 »

頓服飲みまくり。

ムギの入院はうまく行って、
どこも悪くなくて健康体で帰って来られて、
その日は、帰って来た瞬間と、お姑さんがデイサービスから帰って来た後と、
夜中と、全部、普通に、ムギに会えている。

ムギはわたしを恨んでおらず、疑ってもおらず、
今までと同じように、甘えてくれた。
本当にお互いの信頼の絆が、太くなったのだと信じた。


でも、そうではなかった。
土曜日になり、ムギは不安定になった。
たまたま、強風が吹き荒れる天気だったのが災いしたのだが、
ムギは怖くて小屋にいられなくなった。

小屋に居たのに、何か顔をバシッってされた!と逃げ出し、
パパとママが揃っていて、二人でボクを探してる、と思い、
また捕まえられちゃう!と、疑心暗鬼になってしまった。

合計3回、会いに行ったが、全然、触れ合うことができなかった。

わたしは、ムギとうまく行っていないとダメなのだ。
何もかもがダメなのだ。
優先順位とか、色々言われても、駄目なものは仕方がない。

ちまに当たってしまうので、わたしは、頓服を飲んだ。


夕方は会えなくて帰って、頓服を飲み、
ちまに当たらないよう気をつけたのだ。

9時に、ムギ帰ってるよと夫に教えてもらって行ったが、
ムギはものすごい警戒をしていて、
退院して来た日は、あんなに甘えてのってくれたのに、
完全に疑っていて、乗ってくれない。

パパが今日は中にいる、またボクを捕まえるかも、と
ムギは思って用心して乗らないのだ。

おかかをあげたら、それだけ食べて、さっと姿をくらませた。
完全な食い逃げ。

探してももう、いない。

部屋に帰って、また頓服を飲む。
おかしくなってしまう。
壊れる。


夜中、2時過ぎに行った。

ムギは小屋に入っていてくれた。
良かった。寒いから、小屋に居てくれれば、それでもう、充分だよ。

手を入れて撫でて、「ちゅーるあげようね。寒いから出て来なくていいよ。」と
ちゅーるを用意して、小屋に差し入れてやった。

ムギはそれを舐めて、満足そうにしていたが、
そうだ、今日はまともに会えてないからシーバあげてないね、食べる?と
ムギに聞いたら、少し食べたいというので、
手で、一粒ずつ、口元に差し出した。

しばらく食べたら、出て来たので、
え、お礼に乗ってくれるんじゃ?と期待してしまったが、
ムギはそのままパトロールに出掛けて行ってしまった。



今日もまた同様に、17時に会いに行く。
昨日よりは少しマシだけれど、風が強くて寒い。

ムギは小屋に入っていてくれた。
良かった、うれしい!

座って、ムギ、ママ会いに来たよ、と言って、
手を入れて撫でたら、ムギはゴキゲンで、
くるっと上を向いて、お腹ちゃんを見せてくれた。

パトロールに行ったのだろう、体中、草の実だらけだった。

わたしが手を入れて、一つずつ取り去っていたら、
ムギが出て来た。

そして一周して、乗って来てくれたのだ。

それでもまだ、恐怖心があるようで、恐る恐る、乗って来てくれた。

わたしは、ムギを驚かせないよう、静か~に行動した。
不用意に物音を立ててはいけない。
ムギは、今、すごく過敏になっていて、ちょっとしたことで逃げてしまうのだ。

わたしの脚に乗ってくれたので、草の実を取り去って捨てた。
それで、「じゃあムギちゃん、お体フキフキしようね~。」と
いつものように声をかけた。

それくらいの時点で、夫が、ガレージに面したトイレに入った。
トイレの窓から、わたしの後ろ姿が見えるし、
もちろん声も丸聞こえだから、会っているのは一目瞭然。

なのに、
なのに、だよ?
その直後、母屋の玄関が、ガッチャーン!と大きな音を立てて開いた。
ムギはびっくりして飛び跳ねた。
「ムギ、大丈夫だよ、パパだよ。」
そう、夫がいきなり玄関から出て来たのだ。

そしてズッタラズッタラと靴を引きずりながら、郵便受けに行き、
ステンレスの郵便受けをガッチャガチャ!とかきまぜた。
ムギはわたしから飛び降りて、裏の物置の陰に隠れた。

履いてから静かに出てくればいいものを、
夫は庭で大音を立ててダンダン!とつま先を蹴って靴を履き、
門扉をガチャーン!と開けて、出て行った。

ムギは完全に逃げて、いなくなってしまった。


何でわざわざ、邪魔するの?
どうして配慮がないの。
むしろ、わざとか!と思うくらいだよ。

ムギが音に過敏になっていること、
家にパパがいると、また捕まえられるんじゃないかと不安がる事、
わからないのか。

わたしとムギが会っているのを実際に見てるんだから、
少し静かに出られないものか!

わたしは夫に抗議のメールをした。
せっかくムギに会えたのに、大きな音を立てるから逃げちゃったよ!って。

そしたら、「忙しい中、用事があるんでね。」という返事。

何かにつけて、忙しい忙しいを盾にして、
配慮も優しさもない。

せっかくムギに会えたのに、もう、ムギは戻って来ない。
夫もおそらくは、近所のスーパーに行った程度だろうから、すぐに帰って来る。
そしたら余計に、ムギはもう来ない。


手元に頓服を持っていなかったので、
わたしは寒風に吹かれながら、ただムギを呼んだ。

帰っても、まだお腹もすいてないし、ご飯も炊けてないし、
ちまに当たってしまう。

夫はやはりすぐに帰って来た。
夫が家に入るのを確認してから、多分ムギがいるだろう、
庭の角の椿の木の根元を見に行った。

ムギがちんまりと、伏せしていた。

手を伸ばして撫でると、撫でさせてくれる。
しばらく撫でていると、ぐふ~ぐふ~と言う。
甘えたいのだ。

わたしだけじゃない、ムギだってママに甘えたいんだ。
ただ、怖い思いをしたくないんだよ。

ムギ、ここだと何もしてあげられないから、ムギのお家に行こう?
ママ、待ってるよ?
待ってるからね。

そう、約束して、わたしはまた、ムギのリビングに戻り、
ムギを呼びながら、一時間、待っていた。

わたしは試されているのだ。
ママが本当に待っていてくれるかどうかを。



すっかり暗くなって、ムギは裏から、小さく鳴きながら帰って来た。

でも、まだ乗るのは怖いらしい。

座っておかかを食べた。
シーバも少し手から食べた。
そうしたら、一周して、
やっと、やっと、そーっと乗って来てくれたのだ。

もう泣きそうになった。
長かった。

退院当日が、あまりにもスムーズだったので、勘違いした。

去年は、木曜日に夫とムギを捕まえて、
土曜日に夫と一緒に迎えに行っている。

だから、二人ともが揃っていた、土日、
ムギはわたしに近づけなかったのだ。
パパ、いるし、また捕まえられるかもしれないし、って。

その後、一週間は、乗ってもすぐに降りてしまうとか、
食べたらいなくなって帰って来ないとか、
そもそも、小屋に居なくて、呼んでも帰らずとかの記述が、
一週間ぐらい続いている。
次の土日になってもまだ、ムギはパパがいるし、と警戒をしていた。

今年はたまたま、平日にわたし一人が迎えに行ったから、
良かっただけなのだ。
本心では、またパパとママが揃うと、捕まえられちゃうんじゃ?と
思って警戒しているのだ。


そんなナイーブになっているムギがいるのに、
あんな大きな音を立てられて。
せっかく勇気を出して乗ってくれてたのに、本当に怒りで震えた。

怒りのコントロールが効かず、
頓服だけが減っていく。



ところで、今日は、不思議なことがあった。

美容院でシャンプーだったのだが、帰りに100均に寄った。
そこの店内で、電話が鳴っていることに気が付いて、
出ると、息子だった。
「あら~、なあに? どうした?」
すると息子はこう言った。
「え?いや、そっちから着信あったから、掛け直したんだけど?」
もちろん、わたしはかけてない。

「あら、じゃあ、何か間違えて押しちゃったかしらね。ごめんごめん。
どう、元気になった?」
せっかくの電話だったし、去年の秋から声を聞いてもいなかったし、
会う約束が2回キャンセルになっていて会えてないので、
声を聞けたのは嬉しかった。
三階建ての100均なので、一番上の人のいないところで、
ちょっと雑談した。

まあ、なんでだかわからないけれど、声が聞けて嬉しかったよ、と
電話を切った。


わたしと息子には、ある取り決めがなされている。
通常の用事は、全部メールでする。
電話をかける場合は、どうしてもの時か、緊急時。
なので、その場合は、出るか、出られなかったら、折り返し掛ける、というもの。

お互い、電話は好きではないので、気軽にかけないよう、
本当の緊急時がわかるよう、決めてある。
これは息子が高校生の当時からだ。
なので、何かあったんだ!と思って掛けて来たのだろう。


このことを、さっき、思い返してみて、
おかしなことに気が付いた。

こんなことが、起きるはずがない、ということに、気が付いたのだ。

息子はスマホだから、不意に触った拍子に、
電話がかかっちゃう、なんてことも、あるのかもしれない。

しかし、わたしが使っているのは、
ガラホという、
二つ折りの、携帯の形をしたものなのだ。

それは、当然、二つ折りを開いて、ボタン操作をしない限り、
全く、何も、動作できない。
開かずに出来ることは、
サイドについている細長いボタンを押すことで、
時刻表示をし、マナーモードにする、
たったその二つの動作しかできない。

わたしは、携帯を、ショルダーバッグのポケットに入れていた。
当然、二つ折りにされているままだ。

発歴・着歴を見ると、
わたしから息子宛に、15:55にかけたことになっている。
これは、もう100均に居た時刻だ。
息子はすぐに折り返して来たらしく、
着歴は、15:56だ。


あり得ないことが起きたと言うことだ。

わたしは、美容室に行っていて、そこで携帯をバッグのポケットにしまった。
自分でしまった。
開いていない。

その足で100均に行って、
二つ折りにされて、バッグのポケットに入っている電話から、
息子に電話がかかった、というのだ。

どう考えても、それはありえない。

わたしは100均で携帯に触れてもいないし、
もしもどこかにぶつかったとしても、二つ折りの携帯が、
誤作動を起こして、わざわざ息子を選んで電話を掛けるはずがない。

息子とは、このガラホになってからは、
ただの一回も、電話していないのだ。
だから着歴にあってたまたまそこにかかるなんてことが、ありえないのだ。


どういうことだろう。

どうしてなんだろう。

息子の声が聞けたのは、得した感じで嬉しかったけれど、
とても不思議な、出来事だった。

                                         伽羅moon3 



 いつもお読みくださり応援ありがとうございます。クリックお願いしますclover

|

« 甘かった。 | トップページ | コツコツと、信頼を築き上げる。 »