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ムギは危なかった。

月曜の夕方に、左手を負傷してるらしきことが発覚したムギ。
腕の付け根を触っても、ギャン!と鳴くので、
手の先ではなく、全体が痛むのだ。

夫は、行くなら勝手に病院に行けば、という冷たい態度。
ああ、行きますよ。
命を守るのはわたしの役割だからね。
だけど、もう少し、優しい言葉遣いが選べるだろうに。

夜中に行くと、ムギは小屋に入っていた。

翌日、すんなりとキャリーに入れて病院に一人で行けるよう、
キャリーバッグをどこに置くか、色々迷ってガサガサしていたら、
ムギは小屋から出て車の下に隠れてしまった。

なので、出て来てもらえるまで、二度も迎えに行って来てもらった。

夕方より、もっと痛そうにしており、
ジャンプがもう出来ない。
甘えてわたしの脚に乗って来たので、介助して乗せたのだが、
その体勢でも痛いんだよ、と悲しい声で鳴いて、
小屋に引きこもってしまった。
ちゅーるを器に入れて差し入れたら、どうにか首を曲げて、全部食べた。

絶対に病院に連れて行かなくては。

でも、自分一人で、捕まえてキャリーに入れられるだろうか。
不安で、孤独で、なかなか寝付けなかった。
心臓がバクバクした。


火曜日はシャンプーだったので、少し早めに行き、
早めに終わらせて、すぐに帰って来た。
でも、その日は暑かったので、秋仕様にした小屋に、
ムギは入っていなかった。
それでも、手が痛いんだから、そう遠くには行ってないはず、と思い、
呼んで呼んで待っていたが、
まったく、帰って来てくれない。

いつもなら、10分ほどで帰って来るのに。

そのうちに、契約時間よりかなり早く、
デイサービス帰りのお姑さんを迎えてくれるヘルパーさんが、
来てしまった。

わたしは、ここの家の者です、お世話になります、とだけ言って、
走って部屋に帰った。
ヘルパーさんが何か話しかけて来たが、無視した。
わたしが、精神的におかしいから、
お姑さんの面倒を見ていないので、そこで普通の人のフリは出来ない。

そのあとは、ヘルパーさんが帰らないと、ムギのところに行けないので、
何度も何度も覗いて、
居なくなったのを確認して、またすぐに行ってムギを呼んだ。

そしたら、ムギではなく、お姑さんが出て来てしまった。
ドアを開けて、わたしの背中を見たが、
無言で閉めてくれたので助かった。

ずーっとムギを呼んでいるのに、帰って来ない。
いつも、暗くなる18時には、いるのに。

どこかで力尽きて、倒れてしまっているのではないか、
それとも、昼間、わたしがこっそり置いたキャリーに気付いて、
警戒して出て来ないか、どちらかだろう。

夫が19時半に帰宅したが、まだムギは帰って来なかった。


ムギの行きつけの病院は、夜間でも当直医が一人いて、
手が空いてさえいれば、診てもらえる病院なのだ。
だから、いくら遅くなっても、連れて行くつもりだった。

一向に帰って来ないので、一旦部屋に戻り、
ちまの世話をして、自分も簡単に夕飯を食べた。

そのあと、また行ってみた。
すると、ムギが小屋に入っていたのだ!

やっぱりわたしを警戒して、いなくなるまで帰れなかったようだ。

ムギはしっぽがだらりと外に出ていて、ぐったり横たわっている。
大好きなおかかを、鼻先に持って行ってみたが、ピクリともしない。
呼んでもゆすっても、鳴かない。

ああ、あの時と同じだ!
一刻の猶予もない。
ムギは命の危険にさらされている!

わたしは、
「ムギ、お手手痛いから、病院行こうね、引っ張るよ。」と言って、
首輪に指をかけ、痛くない方の腕を引いて、
ムギを小屋から出した。
ムギは、全くの無抵抗で、ずるずると出て来た。

抱き上げて、キャリーバッグに入れても、ムギは何も言わなかった。

とにかく、捕獲は出来た。
こんなぐったりして、おかかにもそそられないムギを、
今夜放置することはもう出来ない。

アパートの階段に座って、病院に電話をした。
当直医が手が空いていれば出てくれる。
出られなければ、留守電に吹き込めば、折り返し電話がもらえる。

なのに、昨日に限って、
「本日は夜間の診療は出来ません。夜間救急センターに行ってください」
という、無情なアナウンスが流れたのだ。

…どうして?
どうして今夜はダメなの?

どうしよう…。
明日の朝まで待てるか。
いや、今の段階でもうここまでぐったりしているのだから、
置いてはおけない。

困りきって、わたしは夫に電話をかけた。
夫に事情を説明した。
息苦しくて声が震える。
夫が、
「でも、当直医がいることは、確かなんだから、とにかく病院に行ってみよう、それで何回も電話してみよう。」と言って、すぐに出て来て車を出してくれた。

わたしはムギを抱きかかえて後ろに乗った。
ムギは呼吸が荒くて早くて、もう声も出ない。
ムギ、頑張って、ムギ、お願い、何とか言って!

病院に到着すると、鍵はかかっていて入れないが、
ドアがガラスなので、中は見える。
医者である証しの、水色の服を着た人がチラチラ見える。
医者はいるのだ。

ドアの前で、もう一回電話をすると、
アナウンスが変わっており、折り返しかけますので、
ご用件を録音してください、になっていた。
わたしは救われる!と思って、三本足の猫のムギです、
前足を負傷して動けず、前夜から何も食べていません、
どうかお願いします、ドアの前にいます、と吹き込んだ。

ドアの取っ手を握って、ブルブル震えながら待ったが、
電話はかかって来ない。
もう一回かけると、「本日は夜間の診療はできません。」に変わっていた。

ダメなんだ…。


時間が無為に過ぎて行く。


わたしは、夫に、夜間専門の救急センターに連れて行ってくれと、
懇願した。
その時点でもう9時を回っており、夫はヘトヘトである。
連れて行ってくれるだけでいい、あとはわたしが何とかする、
帰りは自腹でタクシーで帰って来る、
だからお願い、連れて行って!と、懇願した。

お金の問題なのなら、お金で救えるなら、
お金で救えばいいのだ。
命をお金で買えるのなら、買えばいいのだ!

車に戻り、救急センターに電話をして説明し、
今から向かいますと言って出発した。

夜間救急は、一晩で軽く5万が飛ぶ。
それでも、こんなムギを明日まで放置は出来ない。
命が危ない。


すると、走り始めて10分くらい経った頃に、
いつもの病院から折り返しの電話がかかって来た!

そちらでお世話になっている猫で、外猫なんですが、
三本足なのに、前足を負傷して動けなくなっていて、
昨日の夜から何も食べておらずぐったりしているんです、と言った。

すると、わかりました、今から診られるのでどうぞ、と
言ってくださったのだ!

すぐさま車をUターンしてもらい、
救急センターにはキャンセルの電話をし、
早く、早く!と思いながら、病院に戻った。

夫には、帰ってもいいよ、と言ったのだが、
診察に付き合ってくれるとのことだった。

わたしはもう、動転していて、先生の顔を見ても、気が付かなかった。

診察室で説明を始めたら、はい、ムギちゃん、わかってますよ、と言われ、
名札を見たら、
それは、ムギの担当のドクターだったのだ!

何ていうラッキー!
この先生なら、すべてを知っている。
ムギがなぜ、お外暮らしなのか。
外とは言え、どういう状況で暮らしているのか。
病歴ももちろん、2月のペットドッグも、この先生を指名して
お願いしてあったので、ムギのことは知り尽くしている。

最初、外猫と聞いて、看護師がおらず、自分一人だしと思ったら、
ムギちゃんだったので、
ムギちゃんなら大丈夫と思って、引き受けてくださったとのこと。

本当にラッキーだよムギ。
良かったね。ありがたくて涙が出たよ。


見た感じ、多分、傷ですね、ではレントゲンを撮って来ますね、と
ムギを軽々と抱いて行かれた。

レントゲンでは、骨にも筋にも筋肉にも問題がなく、
噛まれた傷跡があって、そこが膿んでいて、
腕全体に膿が回り、パンパンに腫れているとのことだった。
ムギの左腕は本当にパンパンだった。

すぐに膿を絞り出し、吸出し、その中を洗う処置がされ、
抗生物質の注射も打ってくださった。

ただ、熱が9度8分もあって、ぐったりしているし、
ノラ猫に噛まれてるので、どういう菌が繁殖したかを培養して調べたい、
それに、怖いのは、傷口が壊死してしまうことなので、
しばらく預かって様子を見たい、と言ってくださった。

もちろん、そうしてもらわないと、どうしようもない。
わたしはそのつもりで、ムギの餌やおやつ、
それに、いつも小屋に入っている、汚ないクッションも持参していたので、
全部渡して、どうかお願いいたします、と
ムギを預けて、帰ることになった。


助かった…。
あのまま放置していたら、繁殖した菌が、全身に回ってしまうところだった。
危なかった…。

しかも、救急センターに行かずに済んだし、
何より、当直医が、ムギの担当の先生だったことが、
ものすごくラッキーだった。

ありがたかった。

夫には、頭を下げて、「ありがとうございました。」とお礼を述べた。

夫が、諦めずに行ってみようよと車を出してくれたから、
ムギの命は助かったのだ。


帰って来て、ムギの小屋の入り口を塞ぎ、
敷物や座椅子をビニールにくるみ、
食器類は箱にしまった。

翌日から、また、面会の日々。
でも、前みたいに、20日間も入院するわけではない。
お外で生活できるレベルにまで回復したら、
帰れるとのことだったので、
順調に回復したら、3泊とかで帰って来られるかもしれない。


シャワーして、メル友さんにメールをしたら、
ブログを書く気力がなくなり、ベッドに入って、
数秒で、寝た。

寝た時の記憶が全くないので、数秒だったと思う。


ムギを救ってくださった龍神さま、ありがとうございます!
ムギの命、これからも大事に大事に見つめます!

                                           伽羅moon3


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