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言葉が届かない。

夫は、本当によくやっていると思う。

嘱託勤務にはなったが、手を抜かずにしっかり仕事をしているし、
母屋の家事と、お姑さんの面倒を、
長女と分担してやっている。
朝のゴミ捨てや、朝のムギの餌やりもやってくれてる。

本当にスペックが高いし、
よくやってると思うし、
疲れてることだろうと思う。

愚痴があれば聞こうと思っている。
わたしでもやれることがあったら、やろうと思うけれど、
残念なことに、夫には、言葉が届かないのだ。

お疲れさま、と言っても、「ああ疲れてるよ。」
と、トゲのある言葉しか帰って来ない。

風邪を引いているので、「ゆっくり眠ってね。」と言っても、
「寝てる暇なんてないし、どうせ寝られない。」と言う。

明日から出張だから、「じゃあ出張、気をつけて行ってらっしゃい。」と言えば、
「気をつけようがない。」と言う。

何にも、あの人の心には、届かないんだ。

「あ~そう、じゃあ、お大事にね、って言っても、大事にしようがない、って言うんだよね。
いっつもそういう風な返事しかしないね。何を言っても無駄だね。」

わたしはもう、言われっぱなしの人生は嫌なので、
夫にそう言って、自分の部屋に帰って来た。

トゲのある言葉を投げれば、
トゲが返って来るのだと、夫はまだ、気が付いていない。
わたしが、ずっとずっと、我慢を重ねて来たからだ。

言いたい放題言われて、
こちらが話していれば遮られてまともに聞いてもらえないので、
丁寧にメールしても、ざっとしか読んでもらえず、
そんな話聞いてない、と言われる。

こちらの言葉が、本当に通じない相手なのだ。

いたわりの言葉も、ねぎらいも、心配も、
一切、受け取らない。
トゲのある言葉で反逆して来るだけ。

そして嫌な思いをするのは、「気をつけて行ってらっしゃい。」と、
そう言ったわたしのほうなのだ。

馬鹿馬鹿しくなった。

何のために言葉があるの?

クラス会などの飲み会に行くときだって、わたしはいつも、
「楽しんできてね。」と言って送り出す。
でもいつも、「別に楽しくない。」と言うのだ。
「うんありがとう、行って来るよ。」って、
言えない人なのだ。

先妻さんだったら、この人を一体どう扱っただろう。
聞いてみたいよ。
なんといってあげたら、この人は安らぐの?
それとも、やっぱり言葉の通じない、異国人なの?


わたしは、親に優しくされたことがなかった。
兄も姉もおらず、家庭内で優しくされた経験はない。

最初の結婚では、「嫁=ただ働きの奴隷」だったので、
誰からも優しくされなかった。

わたしの頭を抱いて、撫でてくれたのは、
小さい息子だったのである。

その時、人に優しくされるということは、
こんな気持ちになるんだ!と、びっくりした。


だからわたしも、出来れば優しくありたい。
できればね。
相手がトゲを持っていて、それを受け取らないばかりか、
トゲを投げて来るならば、
もう、言葉かけも、しない方がマシってこと?

それは自分を孤独にするだけなのに。


夫が先妻さんを亡くしたことが、本当に気の毒だ。
わたしなんかと再婚しても、
何一ついいことがなかった。
可哀想に。生きてて欲しかったね。
すごく、素晴らしい方だったんだよね。
夫からも、お姑さんからも、
何百回も聞いたよ。
わたしとは大違い。

彼女なら、今の夫に、なんと言葉をかけてあげるだろうか。
夢に出てあげて、伝えてあげて欲しい。
言葉のとどかない、彼は孤独だよ。

                                             伽羅


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