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娘を降りる。

哲学者の、中島義道さんの著書に、
「人生を〈半分〉降りる」という本がある。

わたしはそれを持っているので、読んだはずなのだが、
しっかり内容を覚えているわけではない。

ただ、概要は、
死に向かっていくだけの人生(年齢)になったのだから、
自分にとって、ためにならないこと、不要なことは、
思い切って切り捨て、
世間と妥協せず、自己中心の態度を持つ、ということが、
軸だったように思う。

今度機会を見て読み返してみるが、
一回読んだだけで、読み返したい本をいっぱい持っているので、
いつになるか、わからない。

けれど、とにかく、
わたしは、「娘」としての自分を、捨てる覚悟が、
ようやく出来た、ということだ。


何年、いや、何十年も悩み苦しんで来た。
けれど、苦しんでいるのは、わたしだけで、
親は、ちっとも苦しんでなんかいないのだ。

わたしが一人っ子なのは、わたしに原因がない。
親の都合だった。
なのに、なぜ、その責任を、
わたし一人が背負って、あえいで苦しんで生きなければならないのか。
納得が行かない。

わたしには、他に、役割がある。
妻とか、息子の母親とか、お嫁ちゃんの姑とか、
猫たちのママとか。

もうこれからは、そっちを大事にして生きる。

昔からそうだったように、
父と母でタッグを組んで、鉄壁のスクラムで、
わたしをなじればいい。
そして、どうぞ二人で完結してください、と
今のわたしは思っている。
「親を捨てる」と言うと、いい感じじゃないけれど、
もう、耐えきれずに、こちらが、娘を降りるのだ。

死んでからしか会えなかったとしても、
それでその時に後悔して自分が悲しかったとしても、
それを、受け入れる、覚悟をした。


その話を、カウンセリングで、してきた。
夫に事情を話し、「親族の葬式になんて行く必要はない。」と
言ってもらえたことなども、合わせて話した。

夫が、田舎暮らしを経験したいみたいなので、
夫が税金を払ってくれるのであれば、
家はとりあえずは壊さずに残す。
夫が住みながら、ちょっとずつでも整理してくれたら、
ありがたい。

それが終わったら、家は取り壊して更地にし、
町に寄付をして終わりにする。

あとは、問題は、「墓じまい」だけだ。



従姉の母にあたる、わたしの叔母だけは、
母のブラックな面を知っているので、
わたしは、それだけでも、すごく救われているのだ。

手の汚れる仕事ばかりを他人にやらせ、
さもすべてわたくしが頑張りましたの!みたいに演じる母。
ヘドが出る。

自分の母親を好きな人が、うらやましい。
自分の母親に、優しくされた人がうらやましい。



今日は暴風雨だったので、デパートも閑散としていた。
割り引きになったお弁当を買って帰り、
急いでシャワーして、急いでムギのところに行った。

もう、丸一日、会えていないのだ。
夫が会えていて、写真を送ってくれるので、安心できるが、
会いたくて急いで行った。

もう雨はやんでいた。
ムギは、車の後ろの、ブロックに座って、わたしを見ていた。
ムギちゃん!
声を掛けると、嬉しそうに、大きく鳴いた。

夫に頼んでビニールに入れてもらってあった、
ムギのカーペットと人間の座椅子をセッティングして、
座って、呼んだら、
嬉しそうに鳴いて、すぐに隣にくっついた。

ムギ、ムギ、やっと会えたね。
会いたかったね。会いたかったよ。

背中を撫でると、お腹を出してくれて、
モフってよいぞ、というので、いっぱいモフモフした。

そのあと、わたしの脚に乗って来て、すっぽりはまった。

わたしは、ひどいO脚なので、その隙間に、
ムギのお腹がすっぽりはまるのだ。

体を拭いて、ブラッシングして、傷を見て、
お尻から何か出てないかを確認して、
あとはラブラブ過ごした。

ムギは時々振り向いて、ニコニコする。
可愛い。
会いたかったね、ムギ。
一日に、一回は、会うことにしようよ。



途中、夫が帰宅したが、
さすがに疲れているはずで、
今日はお姑さんの病院に行かなかった。

夫は、片道一時間半もの通勤をしている。
働いて、通勤して、家事をやるだけで、もうヘトヘトだろう。

わたしが部屋で、買って来たお弁当を食べ、
ソファに座ったら、ちまがすかさず乗って来た。
膝にのせているクッションに丸くなって、
可愛いポーズでくつろいでいるので、
何もできなくなった。

ちまも、ムギも、本当に可愛い。
二人がいてくれて、とても幸せだ。


息子にとって、いい母であるよう、
お嫁ちゃんにとって、優しい姑であるよう、
心がけて生きて行く。

親を、反面教師として、
やられて嫌だったことは、絶対にやらない。

わたしについてくれてる、おじいちゃん。
ごめんね。
お父さんとも、もう、無理みたい。
でも、恨んだり、嫌いになったのではないよ。

娘という、重荷を、降ろしただけ。
ごめんね。

                                                伽羅moon3


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