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手放す時には惜しまない。

昨日書いた手紙を、えいっ!とポストに投函した。

これで、何かが終わる。
いい結果になる希望は、持っていない。

でももう、仕方がない。
苦しくてたまらない。

わたしが手放さない限り、怒りは永遠について回る。
それを断ち切るのも、自分次第だ。

そのために、親との平穏な関係を失うだろう。
というか、もともと、全然、平穏なんかじゃないのだ。
だからもう、いさぎよく、サヨナラするしかない。

怖いけれど、拒絶されたら、諦める。



天然石で、アクセサリーを作っていたが、
精神的に、辛くなった。
人さまが使うものを、売るなんて、怖くなったのだ。
そこに、リウマチを発症してしまい、
細かい作業もできなくなった。

種類別・大きさ別・形別にきれいに分類され、
しゃれた箱に詰め込まれた石たちは、
押入れの奥で、眠っている。

誰か、引き取ってくれないだろうかと考えていた。

採算は度外視していたので、良質な石のビーズが、
大量にある。

捨てるには忍びないが、売るのも難しすぎる。

なので、いっそ、差し上げる、という手段を考えた。



しばらく前から、「ジモティ」を眺めたり、
オークションサイトを見たりしていたが、
なんのきっかけか忘れたが、
「アゲマス」というサイトがあることを知った。

文字通り、金銭の授与はゼロで、
ただ、あげたい人が、もらいたい人に、差し上げるという、
なんともシンプルで、しかし画期的なサイトを発見した。

どうやって見つけたんだっけ。
単に、検索バーに、「あげます」と打ち込んだだけだったような…。

すごく簡単にサイトにアップできることがわかったので、
登録して、ガラケーで撮った写真を3枚添付して、
記事をアップした。

でも、大量の天然石のビーズを、
もらいたいと登録している人なんて、いるのだろうか?と
全然、信用してはいなかった。

しかし、翌日、すぐに、申し込みが入った。

読んでみると、それは、
東日本大震災に遭われて、家をなくし、
集団移転した先で、グループ活動をしている方だった。

みんなで、楽しむため、立ち直るために、
手作りのサロンを開いているとのこと。
天然石ビーズや、羊毛フェルト、ハギレなどを、
広く求めていらっしゃる人からの申し込みだった。

わたしは、ぜひこの人に差し上げたいと思った。

わたしが持っている石のビーズは、大量で、
個人の方が、所有するには、ちょっと多すぎる。
なので、お教室をやっているような方を望んでいた。

ただ、とてもおしゃれな箱に保管してあるため、
その箱も、大事にして欲しかった。
揃っていて、とても見栄えがいい、黒と白の段ボール箱なのだ。
アスクルさんで買った、おしゃれな箱。

この箱に、紐をかけると、箱がいたむので、
出来れば取りに来てくれる、近県の人を探していると書いたのだが、
欲しいと言ってくださったのは、宮城県の、被災者の方だった。



あの震災の日。

わたしは、被害は受けていないが、
一生忘れられない日だった。

それは、わたしの、初めての個展の、初日だったのだ。

11時開店のギャラリーに、
北海道に出張している夫から、立派な花が届けられた。

DMをお出ししたお客さまも数名いらしてくださり、
お花やお菓子をいただき、
遠くから新幹線で来てくださった方もいて、
わたしの友人も来てくれて、
ギャラリー内が、華やいだ時間だった。

ぐらぐらと揺れた。

わたしは、声をかけて、皆さんにしゃがんでもらった。
激しい揺れが、長く長く続いた。

尋常な地震ではないだろう、と感じた。

お客さまたちは、慌てて帰られた。

けれど、すんなり帰れた人はいなかった。
最寄りの駅から電車に乗れても、ある駅で足止めをくらったり、
やがて駅には、無情にもシャッターが下されて、
中にすら入れてもらえない状態になった。

諦めて、ギャラリーに戻って来たお客さまと、友人と、
ギャラリーのスタッフさんとで、わたしたちは夜を明かすことにした。

JRの復旧は望めないが、翌日になれば、
きっと地下鉄は動くと考えたのだ。


幸い、停電にはならず、エアコンも効いていたので、寒くはなかった。
奇跡的に、家にいた、当時学生だった末っ子くんと電話がつながり、
ちまの世話を頼むこともできた。

コンビニには商品があって、それをみんなで買って、
空腹に陥ることもなかった。

だから、被害に遭ったわけではない。

けれども、初めての個展の、初日に、
こんなことになって、
わたしの個展は、成功はしなかったと言える。

誰も怪我をしなかったのが幸いだったが、
来てくれたせいで帰れなかった人、
来ようとしてくれて、断念した人、
とても申し訳ない気持ちになった。

なんで、あの日だったんだろうねえ。

なんでわざわざ、あの日だったんだろうねえ。



だから、大震災の被災者さんから、お申し込みをいただいた時、
これがご縁なんだとわかった。

送料は負担してくださるとのことだったので、
気持ちよく、もらっていただくことに決めた。

どこに、どういう発送方法で頼めばいいか、調べて、
なるべくいい方法で、お送りする。

被災した皆さんが、少しでも楽しめて、
辛い日々に、華やぎが生まれたら、それでもう、素晴らしいよ。

震災後、夫は現金で寄付を行ったが、
わたしからの寄付は、これだ。

使わないお道具や、金属パーツなども、
もらっていただくことにした。



いさぎよく手放す。
それを喜んでもらえるなんて、素晴らしいことだと思う。

発送は、ちょっと大変だけれど、役に立てると思って頑張る。

良かった。
気持ちがいいよ。

                                                伽羅moon3

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