« 信頼は築くもの。 | トップページ | 寝付けなくてしんどい。 »

道具への執着。

わたしは、自分の持ち物に対して、
執着が強い。

本も、道具も、本当にいいと思ったものを手元に置いているので、
大切なのだ。

ペンも、何種類もあるが、
イラストを描くとき用のサインペン、
そのイラストに添える文章を書くときのサインペン、
手紙を書くときのボールペン、
手帳に使うマルチペンなど、多種類を使い分けている。

決して高いものはないが、自分で選んで、いいと思ったものを、
ずっと大切に使う。

だから、それらを、ぞんざいに、適当に使われるのは、
心から嫌だ。

ハサミも、紙切り用、ガムテープ用、布用、一般用、化粧用と
5本持っている。
他に、カッターは必需品だし、ピンセットや、デザインナイフも、
わたしには大切な道具だ。

ホチキスやパンチ、メジャーやスケール、
どれも、気に入ったものを買い揃えて、大事にしている。
もちろん、保管場所もきちんとしてある。



再婚した時、夫の書斎にわたし用のデスクも入れてもらい、
道具などを箱から出して、分類し始めた。

ちょっと席を外して戻って来ると、
わたしが持って行ったテープカッターに、
見知らぬテープが、セットされていた。

もちろん、それをしたのは、夫で、
もちろん、悪気はない。

けれど、わたしは、自分のものなのに、
勝手にそういうことをされたことが、ひどく不愉快だったので、抗議した。
すると、夫は、「だってこれは、いいテープなんだよ?」
と反論したのだ。

スコッチのメンディングテープである。
もちろん、わたしは、印刷・デザインの業界人だから、
それがどういうテープか、知っている。

そうじゃなくて、わたしは、わたしの持ち物を、
勝手に作り替えられたことが嫌だったのだ。
わたしは、それにはめるテープはもちろん、用意して持っている。
そのテープが、いい悪いの話ではない。

また、何かを説明する時、
夫はひょいとわたしのペンを取って書いた。
それは、イラスト専用のペンだった。
なんで勝手に使うの?と、また言い争いになった。

どうやら、自分のものと、人の物の、区別がないらしい。

向こうにとっては、たかがペン一本でうるさい、と思うだろう。
でも、わたしには、「たかが」ではないのだ。



わたしがアパートで暮らすようになり、道具類は、
小引き出しに分けて収納した。
めったに使わないペンは、手が届かない奥の方に配置した。

わたしが、道具に執着し、勝手に使われるのを嫌っていることを、
ようやく夫も理解してくれたのだが、
「このハサミ使っていい?」と聞かれて、いいよって答えると、
それでガムテープを切られた。
ああ。
そこまでいちいち言わないと伝わらないか…。

メジャーなどは、収納してある引き出しを知っているので、
必要な時に、勝手に出して計るのだが、
片づけてくれた試しがない。
道具は出たままで、引き出しは開いたままで帰る。

これは、多分、わたしの方が、異常に執着をしているんだろうな。
夫が、普通なのかもしれない。



昔、デザイン事務所に勤めていたのだが、
そこはご夫婦でやっている、個人の事務所だった。

珍しいことに、ご主人のほうが、わたしと同郷で、
東京では珍しいので、よりお近づきになり、
働かせてもらえることとなった。

ご主人の方は、業界ではちょっと有名な方で、
新聞社の仕事もしていたので、
博物館のポスターのような、華々しいお仕事もあった。

奥さんは、すごく優しい方だった。
気さくで、寛容な方だった。

ただ、困ったことに、この方も、
自分の物と、他人の物の、区別のない方だった。

わたしは、仕事には、自分が持っている道具を持参した。
印刷会社時代から、大切に使っている、
カッターやデザインナイフやデバイダー、他の特殊な道具を持ち込み、
与えてもらった引き出しに、綺麗に入れて使っていた。

わたしは通常は、朝の10時から午後5時までの勤務だったが、
ご夫婦は、土日とか、夜中とか、朝早くとかに、
作業をされることもある。
個人の事務所は、それをこなせないと、仕事はもらえない。

わたしが出勤して、引き出しを開けると、
わたしの道具がないことが、たびたびある。

犯人は、奥さんだ。

カッターなんて何本も、事務所内にはあるのに、
すぐに無くしてしまったり、持って歩いてどこかに置いたりして、
見当たらないと、
勝手にわたしの引き出しを開けて、わたしの道具箱から出して、
使うのだ。
そしてそれを戻さず、どこかに置いてしまう。

わたしの道具には、星のシールが貼ってあるので、
一目瞭然。
奥さんに尋ねると、
あら~ごめんなさーい、借りたかもしれないわねえ~。
と言う。

わたしは、「いいですよ。でも、戻しておいて頂けますか?」と答えると、
奥さんには、
まあ~厳しいわねえ~。と言われる。

その事務所で買い与えてもらったものなら、使われても仕方がないが、
自分の道具なので、わたしは非常に不愉快だった。

道具のみならず、わたしが担当して、
整えておいた資料を持ち出され、
順序をめちゃくちゃにされていたりしたこともあった。

でも、奥さんは、寛容な人なので、
それをもし、自分がされても、怒らない方なのだ。



大変お世話になったけれども、どうしても、
相容れない部分があった。

距離が近くなりすぎることは、本当に良くないと思う。

でも、そこで働いていて、結構なお給料をいただいていたので、
わたしは離婚に踏み切れた。
好きではないが、大変お世話になったご夫婦だった。

事業が傾き、わたしも解雇されて、
その後、お会いしたときは、
クレジットカードも一切使えなくなり、
奥さんが、子供たち相手に絵画教室をやっていて、
それで日々の食費を賄っているとおっしゃっていた。

お元気でいらっしゃるかどうか。



去年、部屋をリフォームしてもらった時に、
ペンもだいぶ処分したし、本もかなり売った。

何かを買うときは、何を減らせるか、考えてから買おうと思う。
一生使えるものを、できれば買いたい。

                                                伽羅moon3

 いつもお読みくださり応援ありがとうございます。クリックお願いしますclover

|

« 信頼は築くもの。 | トップページ | 寝付けなくてしんどい。 »