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振りかざす正義。

夫と付き合って11年になるが、
いまだに、うつ病に関して、理解がない。

うつ病どころか、わたしの痛み苦しみについて、
基本的に、「興味」がないのだ。

まったく心配もしておらず、
関心がなく、寄り添う優しさもない。

それは何故か。



わたしが、「死なない」からだ。

夫は、大切な先妻さんを、病気で失っている。
死に至る人を、看取った人だ。
人が死ぬってことを知っている。

だから、「死なない」わたしの痛み苦しみには、
基本的に、関心がない。
当然、共感もない。

リウマチの痛みをまず相談したときだって、
年を取れば誰だってどこか痛くなって、
そんなのはどうせ治らないんだよ、よ言われた。

だから、自分の判断で、リウマチを疑って、
病院に行った。

リウマチだと判明して、治療を開始したが、
今も痛みは消えてはいない。



うつ病で、色々辛い症状がある。

薬の副作用でも、いっぱいいろんな症状が出て苦しんでいる。

最も辛いのは、「睡眠障害」だ。

わたしの場合は、「入眠困難症」と呼ばれる。
寝つきが悪くて、
わたしは睡眠薬を二種類マックス量と、
強力な鎮静剤を大量に飲んでいるが、
緊張のスイッチがオフにならず、
体が疲れていてヘトヘトでも、薬が体に回っていてフラフラでも、
脳だけが、覚醒しており、目がランランとしていて、寝付けない。

そして、朝になってしまい、
焦りで、余計寝られなくなる。
この「焦り」は、原因がある。
それは、夫だ。

夫は、夜10時半に寝て、朝の5時に起きる人だ。

わたしは、朝の5時に、寝られていれば、いいほうだ。

さて、世間さまは、どちらが正しいと判断しますか?
どちらの意見を採用しますか?

もちろん、夫が「正義」。
正しい生き方。

わたしは、マイノリティー。
少数派の弱小派で、推奨されない生き方。



うつ病になった時、夫にすごく責められた。

いくら寝られないって言ったって、
人間、死なない程度には寝るんだ。
いつかは寝られるんだから、いっそ起きてれば?と言ったり、
夜、早い時間帯に、薬を飲んで、
布団に横たわって目を閉じていれば、
いくらなんでも寝られるんじゃない?とか、責められた。

なんで、そういう風に、早い時間に寝る努力をしないのかと、
責められ続けた。

もちろん、色々試したよ。
いいと言われることはやったし、
体には良くないけれど、確実に寝られると言われてることもやった。

けれど、睡眠薬と鎮静剤をザラザラと流し込むように飲んで、
薬が効いて、体はフラフラ。
歩けない。
なのに、何時間横たわっていても、寝付けないという、
そういう、苦しい経験を、したことがないから、
そんな「正論」を振りかざすのだ。



夫は、いつでもどこでも、どんな状況でも寝る。
舞台に寝せられ、強いスポットライトを当てられていても寝られる。
誰と飲んでいても、
ハイペースでぐいぐい飲んで、一次会ですでに寝る。

けれど、朝まで寝付けない人より、罪が軽いらしく、
そういうことは、非難されないのだ。

なぜなら、早寝早起きが、「正論」だから。


付き合っている時から、夫は正論を振りかざしていた。
自分は、悪いことをしたことはなく、
汚点もなく、
一点の曇りもない!と言い張って、わたしを責めた。

汚点だらけのわたしは、それがすごく苦しかった。



人間は、正しいことだけをして、生きて行くことは不可能だ。
どんな些細なことでも、間違いは犯すし、
失敗もするし、
人を傷つける。
「正義」という刀で、人を切り刻む。

そんな権限がどこにあるのか。
自分にとって、それが正しかったら、
それを押し付けて、守らせるべきと思うのか。




土曜日も、日曜日も、寝付くことができず、
朝になってしまった。

朝に、「まだ寝られてない」ことを、夫にメールする。

それは、夫から責められることを、
事前に防ぎたいからだ。

何時に寝られたのかがわからない状態で、
いくらなんでもお昼には起きてるでしょ、と
行動されても、困るからだ。

いつでも自由にわたしの部屋には出入りできるので、
来て、まだ寝てるの?と、思われたくない。

寝付けないことは、苦しいことなんだ、と、
わたしは11年間、ずっと訴え続けて来ている。

そして、理解されないままなのである。



経験がないことには、共感は難しい。
もちろん、共感は、別に要らない。

ただ、責めるのをやめて欲しいのだ。

わからないけど、辛いのか、それじゃあ仕方がないね、と、
諦めて欲しいのだ。

今日もまた、11年前と同じことを言って来た。
日付が変わるころに、ベッドに入って、目を閉じてれば、
体を休められるんじゃないか、と。

医学的に、万が一、そうだとしても、
全く、気持ちについては、寄り添ってくれない、冷たい考えだ。

眠気もないのに、ベッドで横たわって、
何時間も過ぎて行き、
新聞配達が来て、始発電車が走り出すと、
寝付けてないことへの罪悪感で、頭が変になるのだ。

その「罪悪感」を、わたしに植え付けたのが、
夫、本人なのに。



誰にも責められないなら、もう少し気分が楽だよ。
11年経ってもまだ、寝付けないことを責められ、
心の苦しみには無関心で、
寝られなくても横たわっていればいいという、「世間さまからの正論」。
その圧力が、本当に嫌だ。

最も近しい間柄でありたい夫婦に、理解されず、
理解されないくらいならまだしも、
正論を突き付けられて、責められて、
もう、弱みを見せるなということか。



「死に別れのところには嫁ぐな。」とは、
こういうことである。
亡くなってしまった人は美化され、(実際に素晴らしい方だったと思う)
後添えは、比較されて、ダメ出しばかり食らう。

離婚してるだけで、本当はもう、アウトだったはずだ。

離婚経験者でも、うつ病でも、いいから、と言われたのに、
寝れないで苦しんでいると、
正義の剣で切り付けられ、
体が病気の時も、
「死ぬわけじゃないのに。」と、切り捨てられる。

死ぬわけじゃないなら、どうでもいいのか。
死にさえしなければ、心はどうなってもいいのか。



明日は、胆のうの手術をした病院でのMRI検査。
朝の10時には病院に着いていなくてはならない。

外は大雨で、ムギのリビングはびしょ濡れだろう。
ムギとは久しぶりに会えて、二時間一緒に過ごせたから、
今夜は行かないで、
薬を大量に飲んで、寝てみる。

薬の飲みすぎくらいでは死なないし、
リウマチでも死なないし、
胆のうが無いくらいでも死なないし、
夫から見たら、うつ病でも「死なない」らしいので、
もうどうでもいい。

その、棘だらけの正義を振りかざして、
周りを傷つけながら生きて行けばいい。
来世にきっと響くだろう。

                                               伽羅moon3

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