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空想する少女。

父が三交替勤務だったので、
揃って食事をする機会が少ない家庭だった。

日勤の日は、父が晩酌をするので、まあまあ機嫌がいい。
でも夜勤の時は、食事のあと、出勤なので、
機嫌は良くない。

狭い住宅で、夜勤の父が昼間、寝ていると、
当然、声を出すこともできない。
息を殺して暮らしていた。



父がいる時はいいが、いないときは、母と二人になる。
うっぷんのたまった母のはけ口はわたししかいない。

愚痴やら大人の噂話やら人の悪口を、
小さいころから延々聞かされて来た。



わたしは、自分が一人っ子で、
自分も一人しか子供を育てていないので、
兄弟がどういうものだか、まったくわからない。
想像することが出来ない。

わたしは、本当は、内向的な性格で、
家で一人で、本を読むのが好きだった。
でも、貧しかったので、本もそんなには与えられない。
「世界文学全集」という、赤い、分厚い本を2冊持っていた。
アメリカとソ連のものだった。

ソ連の物語は、「石の華」というもので、
腕のいい石工が、石の世界の女王に連れて行かれてしまう物語。
その女王の世界では、石で作られていた花が、
本物であるかのように見えたそうだ。

石が好きだったわたしは、石工の、残された妻が、
夫の帰りを待ちながら、山の洞穴に行き、
石を掘って来て、それをスライスすると、
見事な文様が現れて、それに買い手がつき、
生活を維持することが出来た話に、わくわくした。

アメリカの本は、「若草物語」だった。
南北戦争のころのアメリカでの、ある家庭の話だ。
父親は牧師で戦地に行っており、
家は、母親と、4人の姉妹だった。

4人姉妹とも、髪の色と目の色が違う。
黒髪で黒い目を持つ自分たちには、
姉妹で、なんで髪の色が違うんだろうとか、
「とび色の瞳」と翻訳された、その「とび色」とはどんな色なのか、
想像しながら読んだ。

特に、文章を書くことを得意として、小説家を目指してる、
次女のジョーには感情を移入した。

姉妹でもなんでもいいのだが、
わたしは、女の子のグループが好きだ。
よく自分で女の子の顔を描き、名前を付けて、
性格を決めて、
この子たちが一緒に共同生活をしたとしたら、と、
空想している小学生だった。



他に持っていた本は、
いとこにもらった、「あしながおじさん」、と、「赤毛のアン」。
それと、「メアリー・ポピンズ」。

メアリー・ポピンズは、ミュージカル化されているようだが、
わたしは、ミュージカルは好きじゃないし、
絶対に原作とかけ離れていると思うので、見たいと思ったことはない。
メアリー・ポピンズは、原作では、
非常に気難しく、常に不機嫌で、
これではミュージカルとしては絶対に成立しない。

赤毛のアンは、アンが、膨らんだ袖の服を欲しいと思う気持ちが、
痛いくらいにわかって切なかった。

わたしは、中学生になるまで、髪を伸ばすことを禁じられ、
服も、赤とかピンクとかは、絶対に与えられなかった。
わたしが女の子らしくあることを、母が許さなかったのだ。

だから、小学6年生になるまで、わたしはいつも、
男の子と間違えられていた。

膨らんだ袖に憧れたのは、わたしも同じだった。
ひらひらしたスカートや、フリルや、リボンに、
わたしだって憧れていた。



少ない本を、何度も何度も読んで、物語をそらで覚えていた。
わたしのあだ名は、「文学少女」だったが、
決して本に恵まれていたわけではなかった。

だから、今は、持っている本は、財産だ。
一回読んで、必要がないと思ったものは、
リフォームの時に、売ったり捨てたりしたが、
今手元にある本は、死ぬまでにもう一回読みたいものだけだ。


自分に、兄弟がいればなあ。

一人っ子は、苦しい。
親と、実家と、お墓をどうすればいいのか、皆目わからないよ。


なんだか、心も体も、疲れた。
寝付けないって、こんなに辛いんだな。

寝付けるかどうかがわからないから、起きられるかどうかもわからず、
自分でも自分の予定を立てにくい。

人に会いたくても、そもそも寝付けるかどうかがわからないので、
約束もできない。

予定があるときは必死に起きるけれど、
フラフラなので、ドリンク剤を飲む。

今日は夕方、ムギを脚に乗せて、ウトウトしてしまった。

しんどいね。

                                               伽羅moon3

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