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最終ステージ。

わたしは、息子がすごくいい人と結婚できて、
マンションも買って、
ひたすら仲のいい様子を見て、
もう、これで死んでしまってもいい、と思うようになった。

もちろん、積極的に死にたいわけではない。

ただ、わたしの最愛の息子が、
最愛の人をきちんと見つけて、
自分で頑張ってお付き合いできるようになり、
結婚を承諾してもらって、
本当に良かったと思い、
どんなに安堵したかしれやしない。

親として、存在していることに、意味はあるかもしれないが、
いなくても、もうこの子は大丈夫。
そう思うと、
思い残すことはないな、と感じるのである。

この部屋でずっと暮らせるのであれば、
一人で死んでしまっても、
それを孤独死だとは感じないし、
息子たちに迷惑はかけたくないので、
それはそれで、いいから、
息子には、自分たちの幸せを最優先しなさいと伝えてある。

わたしが、断捨離を実行し、
生活をシンプルに移行しているのは、そういう気分だからである。


正直、わたしのこれまでの人生は、
幸福とは言えなかった。
満たされてはいなかった。

デザインや、クラフトを仕事にすることが出来て、
仕事に対するやりがいとか、
充実感は感じることができたが、
生活は常に厳しく、
月々の支払いに怯え、
人間関係にも失敗してばかり、
親ともうまくいかずにいた。

自分の人生は、泥舟だと思って、
あきらめていたところがあった。

そこを、救ってくれたのは、夫だ。

今もわたしは、月末の夢を見る。
支払期限が迫っている。
督促状の嵐。
電話には恐ろしくて出られない。
どうしよう、どうしたらいいの?

ふっと目が覚めて、現実を確認する。

そうか。
わたしは、再婚して、夫に守られて生きている。
もう、月末の支払いに怯えなくていいんだ、と思うと、
本当にホッとして、
心から夫に感謝するし、
苦しんで、怯えて暮らしていた自分を、不憫にも思う。

少女時代から、恵まれない人生だったが、
この、最終ステージに来て、
わたしは、夫に守られ、
息子夫婦がとても幸せにしており、
こんな場面が待っているとは思いもよらなかったので、
ありがたくて、涙が出る。


息子んちに遊びに行って、
本当に楽しかった。

持って行ったお土産は、
2ヶ月近くかけて選んだものたちで、
どれも全部喜んでもらえた。

楽しくお喋りして、美味しい手料理をいただき、
あっという間に時間が経ってしまった。

帰って来て、夫に、心からお礼を伝えた。
一緒に行ってくれるからこそ、楽しいのであり、
息子と飲む日本酒や、お嫁ちゃんへのチョコまで買っていてくれて、
和やかに話してくれて、
ありがたかった。

夕べは、幸せすぎて、
脳内に、感情と言葉が氾濫していて、
逆に、ブログを書けなかった。

自分の息子が可愛いのは、当たり前。
でも、わたしは、お嫁ちゃんのことが、本当に可愛い。
それが、不思議でならないのだ。

自分の性格の悪さは、自分でわかっている。
博愛主義者でもないし、
フレンドリーでもない。

でも、素直で、裏表がなく、
無邪気なお嫁ちゃんのことが、可愛くてたまらない。
喜ばせてあげたいと思う。
息子に甘えて、公然とイチャイチャする姿もほほえましくて、
笑ってしまう。
息子はただ、されるがままになっているよ。

息子が小さい時は、息子が可愛すぎて、
絶対に、嫁いびりする!と思っていたのに、
フタを開けたら、こんないい子と結婚できて、
本当に本当に良かったと、感謝の気持ちでいっぱいだ。


夜中、いつもより一時間早く、
ムギに会いに行った。

ムギは小屋にいて、きゅ~んと甘えた声で鳴いた。
「ムギ、来る?」と、わたしの脚をトントンしたら、
出て来て、乗ってきてくれた。

昼間会えてないから、甘えたいよね、お互いにね。

すると、ムギが、輝いて見えた。

あれ?
なんで?

隣のマンションとの境に、ちょっとだけ見える空を見上げたら、
月がそこにあって、
その光が、スポットライトのように、
ムギを照らし出していたのだ。

神々しく、ムギは光っていた。

見える空はとても狭く、
そこに月が来る時間なんて、数分。
わたしには光は届かず、
ムギだけが、照らされて、光り輝いていた。

ムギは、その命を、祝福されている。
一生懸命、頑張って生きている姿を、
神様は見ていてくれる。

ムギ、お月さま、見ているよ、
ムギのこと、照らしてくれているよ、と言いながら、
ボロボロと泣いた。


重ねて来た苦労や失敗があって、
今のわたしがある。

最終ステージに、こんな愛おしい命に囲まれて、
本当に幸せだと思う。

息子にも、貧乏で苦労をかけたが、
足らないことを知っている息子は、
満たされる喜びにもまた、敏感でもある。

いい子と結婚できて、本当に良かった。
あの、引っ込み思案な息子が、一目ぼれして、
アタックしたのだ。
運命を感じたのだね。

どうかどうか、ずっと彼らが幸せでありますように。

                                           伽羅moon3




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