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何と言う喜び!

夕べは、最初から、セロクエルを足して寝た。
寝られたのは4時近かったが、
午後2時半まで、眠れた。
夢も覚えていない。
深く眠ったのだと思った。

動物病院からは、電話は来ていない。
ムギに、何も起きてないということだ。

起き出して、ちまの世話をして、
トーストを食べた。
ムギを迎えに行くのは、5時くらいなので、
スーパーに買い物に行ってきた。

飲み物や缶詰を買ったので重たくて、
帰って来たら、ぐったりしてしまった。

心身の疲労が、取れてないのだ。
ユンケルを飲んだ。
元気に、ムギを迎えに行かなくては。

夫が帰宅したので、
洗濯をした、ムギの敷物を持って降りて行き、
小屋の封印を外して、
「いつもの状態」に整えた。

土曜日なので、動物病院は混んでいる。
幸い、駐車場が一箇所空いていたので、
停めることが出来た。

受け付け表に記入して、ソファに座って待つ。

ムギは、怒っているだろうか。
ママにだまされて、捕まえられたって、
恨んでいるだろうか。

もしそうだとしたら、次はいつ、ムギに触れられるかわからない。
先生にお願いして、キャリーに入れる前に、
診察台に乗せてもらって、思い切り抱っこしたいと思った。

やがて診察室に呼ばれた。
ムギはまだ来ていない。

ペットドックとしての検査と、
黒い液体を吐いたことの検査もしてもらった。

レントゲン写真、超音波写真を、順に見せられる。

ムギの骨まで、すべてが愛おしい。
可愛い背骨。

結論を言うと、
ムギは、とっても元気な子だった!!

尿検査、異常なし。
血液検査、多少のことはあるけれど、無視して平気なレベル。

内臓、全部キレイ。
胃の中の波型も、見本のように、美しい。
胃の厚みもちょうどいいとのこと。

心配だった、腎臓も、そして膀胱も、
とてもキレイで、結石は見当たらない。
あああ。
素晴らしいよ。
去年、二ヶ月間、まるまる、療養させて良かった。
あれでしっかり治せたのだ。

ちゃんと、療養食を与えてきた意味もあった。

ちょっと気がかりなのは、心臓の弁。
右心室と右心房の間の弁が、ちょいと弱いらしく、
かすかに、逆流があるとのこと。

でもそれも、今治療しなくてはというものではなく、
将来、もしかしたらじわじわ悪化することがあるかもしれないが、
今は、一年に一回の、この検診で大丈夫とのこと。

心電図は、見本みたいに、美しい波形。

あとは、便に、虫がいたそうだ。
条虫という、さなだ虫みたいなものらしい。
駆除のお薬を飲ませてもらったそうだ。

一ヶ月したら、もう一回飲ませる。
これは、わたしがやる。

眼にも、耳にも、全く問題はなかったそうだ。
素晴らしい。
素晴らしいよムギちゃん。

わたしは、安堵のあまり、また膝から力が抜けて、
立っていられなくなり、椅子に腰掛けた。

そして、連れて帰ってキャリーから出すと、
いつまた撫でられるかわからないので、とワガママを言って、
ムギを連れてきてもらい、
診察台に乗せてもらった。

先生に軽々と抱っこされて、鳴きながら、ムギがやってきた。
診察台に置くと、
ぺしゃんこになって、
ムギは鳴きながらわたしのほうに、にじり寄ってきた。

抱き寄せると、ムギは、「助けて~!」と鳴きながら、
わたしの左脇に、顔を突っ込んだ。

ああ、ムギちゃん。
怒ってないのね?
ママに、助けて~って、来たんだね?
大丈夫だよ、もう一緒に、おうちに帰ろうね。
ムギちゃん、元気だって!
良かったね!
ムギよく頑張ったね!
帰ろうね!

わたしに顔を埋めて、ムギは鳴きやんだ。
わたしはムギを抱きしめて、
またちょっと泣いた。

キャリーが運ばれて来て、
預けた餌が返された。
ムギ、餌は食べなかったそうだ。
ちゅーるだけ食べたそうなので、一本しか渡さなかったことを悔いた。

すーっとキャリーに入って、
さあ、みんなでお家に帰ろうね。

ソファでお会計を待っていると、夫が、
「そういえば、ワクチンの説明なかったね。」と言った。
そうだ。
去年6種のワクチンを受けていて、
それが切れる前にと、日程を組んでドックに入ったのだ。

お会計に呼ばれて明細を見ると、
ワクチン代が入っていない。
看護師さんに、「ワクチンをお願いしてあったのですが。」と言うと、
先生に聞いてくれた。

先生が、カウンター越しに顔を出して、
虫下しの薬を、来月飲んで、
そのあとのワクチンがいいんです、言い忘れました、と言った。

…いやいや。

また、ムギを捕まえて、連れて来いと?

虫下しの薬と、ワクチンのことを、
説明された。
免疫機能がなんちゃらかんちゃら、と言っている。

でももう、頭に入らない。

もう一回、ムギを捕まえて、連れてくる?

わたしは、フリーズしてしまった。


わたしの気力は、
もう、使い果たしてしまって、
マイナスになってしまっている。

今日だって、ユンケルを飲んでやっと動いたのだ。

ムギの心を傷つけないために、相談を重ね、
入念にシミュレーションし、
ギリギリのタイミングで、奇跡的に、捕まえられたのだ。

あれをもう一度?

…無理。
無理無理無理。

夫は、また連れて来よう?と言った。
オレが頑張るからさ、と。

そんなこと言ったって、ムギの心を守ることは、もう難しい。
ここで一気に終わらせられなければ、
ムギからの信頼はもう得られない。

わたしには、今後、気力は湧かない。

先生も、夫も、最後は、わたしに任せると言ってくれた。


ワクチンを打てば、熱が出るかもしれない。
何らか副作用が出てしまうかもしれない。

でも、出ないかも、しれないのだ。

去年とムギは違う。

今のムギは、健康で、代謝が良く、
とても状態がいい。
去年みたいに、病み上がりで打つワクチンではない。

熱が出て、具合が悪くなったら、
ムギはきっと、小屋で寝てくれる。
そして、きっと乗り越えられる。

わたしは、そちらに賭けることにした。

少しの危険を冒して、
その場で、ワクチンを打ってもらう選択をした。

帰って来たら、二人で、ムギを注意して見てやればいい。

もう一回、捕まえるだなんて、
嫌だ。

先生が了承してくれて、注射を持って、待合室に出て来て、
ムギがキャリーに入ったままで、
背中の皮をひょいとつまんで、
さっと注射してくれた。

ムギは、小さく、にゃ~と鳴いたが、
落ち着いていた。

きっと大丈夫。
きっとムギは乗り越えてくれる。

車の後部座席に乗り、
ムギのキャリーをしっかり抱きしめた。
ムギが使っているキャリーはソフトな布タイプなので、
ダイレクトに感触が伝わる。

そっとファスナーを開けて手を入れて、
ムギのアゴを撫でた。

すると、ムギは、帰れることを悟ったらしくて、
ぐふ~ぐふ~と喜んだ。
わたしを、恨んでいないようだった。

家に帰って来て、
空腹だろうからと、すぐちゅーるを出してやったが、
ムギは、キャリーから、ぴょんと飛び出ると、
嬉しそうに、周りを見回した。

ううーんと伸びをして、ちゅーるには食いつかず、
庭の柿の木で爪とぎをして、
アパートの前のコンクリでゴロンゴロンしてから、
パトロールに、出掛けて行った。

夫が、ムギ!と呼ぶと、
元気な返事をしてから、消えて行った。

空腹だろうからと、大好きなシーバも、出しておいてやった。


さっき、夜中12時に、ムギを見に行ってみた。
怖がらないよう、門のあたりから、
ムギちゃ~ん、ママだよ~、と小さく呼びかける。

小屋は空っぽだった。
ムギいない…。

家の裏を照らして、「ムギ!」と呼んだが、いない。

お皿が空っぽだったので、洗って拭こうと思ったら、
車の横に、ムギがひっそりと、座っていた!

ムギちゃん、いたの~?

ムギは、わたしの動向をうかがっていたのだ。
わたしがどう出るかを、見ていた。

なので、お皿は置いといて、すぐにいつものように座り、
ひざ掛けをして、
ムギに話しかけた。

ムギは返事をした。
逃げることもしない。
これは、大丈夫かも。
脚には乗ってくれなくても、おかかぐらいはあげられるかも。

すると、しばらくして、ムギが、
まっすぐわたしに向かってきて、
躊躇なく、
こちら向きに、乗って来てくれたのだ。

ムギちゃん!
怒ってないの?
恨んでないの?

わたしは、心から、感激した。

ムギは、怒っていなかった。

作戦は、成功だったのだ。

何と言う喜び!


ムギは草の実だらけだった。

ブラッシングして、シートで身体を拭いた。
「ムギ、お腹ちゃんは?」と聞くと、
ちゃんと身体を浮かせて、お腹を拭かせてくれる。
もう一回ブラッシングして、ムギはツヤツヤになった。

毛布でくるんで、いっぱい、ほめながら撫でた。

乗ってきてくれるなんて、感激だよ。
嬉しい。
何日もかけて、考えて、相談して、シミュレーションした甲斐があった。

耳を触っても、お腹を触っても、
いつもと変わりない。
熱は出ていない。
機嫌も良くて、いつもどおりのムギだ。

ムギ、お帰り。
今夜からまた、毎日こうして一緒に過ごそうね。
ムギ、良く頑張ったよ。
偉いねえ。

途中、これもいつもどおりに、「おかかくれ!」と鳴いた。
お座りして、おかかを食べて、
今度は向こう向きに乗る。

北風が急激に強くなり、色んな音がし始めて、
ムギは、夜中のパトロールに出掛けて行った。

小屋にはカイロを仕込み、
餌を小皿で入れておいた。

小さい戦士。
愛おしいムギ。
お疲れさま、ムギ。

                                          伽羅moon3




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