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濡れるのが大嫌い。

わたしは、自分が水分で濡れることが、
ものすごく嫌いだ。

小さい頃から、水が怖く、
狭いお風呂で母に、頭からお湯をかけられ、
そのたびに、
自分はもう死ぬ、もう死ぬ、と思っていた。

髪を洗われることが、死と隣り合わせの恐怖だったのだ。

近所のオジサンがしてくれたように、
座った膝にわたしを仰向けに寝せて、
顔にお湯がかからないようにしてくれたら、
ここまでの恐怖心は抱かなかったのに。


それまでは、毎日お風呂に入り、
毎日顔を洗うのが当然と思っていたのだが、
うつ病になり、お風呂も、洗髪も、洗顔も、
辛くてたまらなくなった。

食器洗いもダメ。
水に触れている間中、
わたしはこの上なくネガティブに陥り、
人を憎むことしかしていない。

自分が汗で濡れるのも、最悪に嫌いだ。
季節を問わず、帰宅するやいなや、
汗で濡れた服をまず脱ぎ捨て、
ちまの世話だけして、シャワーする。

本当はシャワーも嫌いだが、
汗をかくので、仕方がない。

浴槽につかることも、苦痛でしかない。
このアパートで一人の時は、
もったいないので、浴槽にお湯は入れない。
追い炊き機能も付いてないので、もったいないだけだ。

なので、帰省した時以外、浴槽にはつからないのだが、
実家のお風呂も好きじゃなくて、
浴槽は、心臓がきゅ~っとなって、気分が悪く、
すぐにあがる。

映画などで、頭の上からシャワーを浴びている人を見ると、
それだけでもう、気持ちが悪い。
よくあんなことが可能だね。

とにかく、濡れたくないのだ。
食器洗いも嫌いなのだ。
極力やりたくない。

きっと、前世で溺死したことがあるに違いない。

それくらい、水が怖い。

だから、息子が泳げるようになるのが遅くても、
わたしがそうだったんだから、そりゃそうだろうと思い、
叱咤することはしなかった。

でも、息子は頑張って泳げるようになった。
わたしは、めちゃくちゃ褒めた。

そして、これで、
息子が死んでしまう原因が、一つでも減った、と
安堵した。

実際は、泳げる人でも、
真冬の海では凍死し、
鼻に水が入って方向感覚を失えば、
溺れてしまう。
それでも、泳げるようになってくれたときは、
ホッとしたものだ。

そんな息子、お風呂は好きみたいで、
温泉には行きたがった。
貧乏で、連れて行ってはやれなかったけれど、
お嫁ちゃんと、いっぱい行ってくれたらいい。
そのほうが、いい人生だよね。


今日はしっかり料理をしたので、
鍋やボウルや食器を沢山洗った。
洗っている間中、わたしは不機嫌である。
過去の嫌なことを延々思い出しては、
誰かを憎んでいる。

洗ってしまって、タオルでしっかり手を拭き、
ハンドクリームを塗ると、
その憎悪は、消える。

溺死するときに、わたしは誰かを恨みながら死んだのだろうか。
そう思えるくらい、
水が嫌い。
自分の汗も、大嫌い。
恥ずかしくてたまらない。

                                           伽羅moon3




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