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可愛すぎて切ない。

リフォームしてもらって、
わたしの部屋の窓にはシャッターがついたので、
起きると、シャッターを開ける。

南も東も、すぐ目の前が隣の建物だ。

東側は特に近い。

シャッターは、そーっと開けるようにしている。
東のお隣の家の屋根に、
ムギが来ていることがあるからだ。

今日もそーっと開けた。
すると、お隣の屋根の上のベランダの下に、
ムギが来ていた。

後付けのベランダなので、屋根とベランダに隙間がある。
ムギはそこに顔を突っ込んで、
身体だけ、出ていた。

「ムギ!」
そう呼んでも、ムギはこちらを見ない。
何度も呼んだが、動かない。

ムギは全部わかってるはずだ。
この窓が、かつて自分も住んだことがある、
ママの部屋だってこと。

シャッターが開いたら、ママが見えるってこと。

呼んでるのがママだってこと。

全部わかってるのに、ムギは出てこない。
この前、来ていた時は、返事をしながら近付いてきて、
飛び移ってくるんじゃ?と思うくらい、
近くに来て、わたしを見つめてたのに。

そうだよね。
呼ばれても、部屋に入れてもらえるわけじゃないこと、
ムギは、わかってるんだよね。

でも余りにも動かないので、
餌を食べてない話を聞いていたわたしは、
もしかして、具合が悪くて倒れてるのでは?と
心配になった。

しつこく呼んでいたら、
逆に、ベランダの下にもぐっていって、
シッポしか見えなくなった。

良かった、動けないわけじゃなくて、
わざと無視してるんだ。

しばらくして見てみたら、ムギはいなくなっていた。


夕方、ムギに会いに行った。
ちゃんと小屋に帰って来て、入って寝ていた。
餌も食べてあったが、
爪とぎの座面に、吐いたあとがあった。

ムギ、ちょっと気分が悪かったらしく、
わざと太い草を食べて、わざわざ吐いたようだ。

鳴きながら乗ってきて、
ムギはゴロゴロと喜んでくれた。

ムギ、さっきは切なかったね。
ごめんよムギ。

身体を拭いて、ブラッシングして、毛布をふんわり掛ける。
今日は寒さが和らいで、かなり楽だ。

ムギ、居てくれてありがとうね。
ムギほどの可愛い猫なら、
きっとどこかの家猫になれるだろうに、
ここを選んで、居てくれて、本当にありがとう。

外に出してしまって、ムギが消えたら、
わたしたちはどんなにか辛かっただろう。
救われたのはわたしたちなのだ。

途中、おかかを食べて、また脚に乗り、
ずっとただ、くっついて一緒に過ごしている。
これが室内だったら、どんなにいいか。
せめてガレージの北側が壁だったら、どんなに楽か。

一時間くらい一緒に過ごして、
ムギが降りたので、
わたしはデッキブラシを使って、ムギが吐いたところを掃除した。

それで帰ろうとしたら、
ムギは、まだ足りなかったらしくて、
庭にちょこんと座って、わたしを見つめていた。

ごめんねムギ、また夜に来るね。
ご飯、出してあるから、食べなね。

夜、また、必ず来るから、待っててくれる?
そしたら、ちゅーるを食べようね。

ムギは黙って、わたしの話を聞いている。
階段を上がっていくわたしを、
目でずっと追っている。

切ないよ…。

ムギを抱きしめて、ムギと暮らしたい。
ムギは、可愛い。
可愛すぎる。

なのに、一緒に暮らせない。
全部、自分が悪い。

会いに行くと、喜んで出てきてくれるムギ。
ただ、何もせず、くっついて過ごしたいというムギ。
愛が欲しいムギ。
可愛いムギ。

切なくて切なくて、泣けてしまう。

いつかこの日々は終わりを迎える。
ものすごい後悔を伴う。
わかっている。

後悔しないやり方なんてない。
絶対に後悔するのはわかっている。

でも、床じゅうにペットシーツを敷き詰めて、
布団にオシッコされても、仕方ないや~と
思えるように、なれない。
頑張ってる人は、いっぱいいるのに。

情けないよ、頑張れない自分。
言い訳ばっかりしている。


夜中に会いに行くと、
わたしが心配しているのをムギはわかっていて、
仰向けになり、ちゃんとお腹にも触らせてくれる。
お腹が温かければ、死に至ることはない。
機嫌もいいってことだから、
安心できるし、モフモフできて嬉しい。

わたしがどうすれば喜ぶのかを、
ムギは全部知っている。

本当に、猫の形をしているだけで、
言葉も通じてるし、
いろんなことを、お見通しなのだ。

甘えっこなムギ。
自分が一番じゃないとダメなムギ。
高くて可愛い声で鳴くムギ。

ムギが望むこと、何でもしてやりたい。
今は、ちゅーるが一番楽しみみたいだよ。
ムギにしかあげてないのだ。

お皿がピッカピカになるまで舐める。
大好きなんだよね。

このあと、また、会いに行く。
お腹、見せてくれるだろうか。
そういう一日一日の繰り返しだ。

ムギ、長生きしてね。お願いだよ。

                                           伽羅moon3




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