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選択を受け入れる。

夕べ、どうしても諦めきれなくて、
寝る前の夜中2時にも、ムギのところに行ってみた。

これで会えなかったら、泣きながら寝るんだろう。

姿は見えず、ムギ、と数回呼んで、
座椅子に座った。

すると、物置小屋の下から、
ムギがにゅるんと出て来た。

ひょっとしたら、さっきも、留守だったんじゃなくて、
会いたくなかったのかもしれない。
それで隠れていたのかもしれない。

とにかく、出て来てくれて、
隣に来て、くっついてくれたので、安心したし、
すごくすごく嬉しかった。

ムギの額をみたら、
血糊でべったりだった傷口が、
ぽっかりと、毛が抜かれている。
1センチくらいの、まあるいハゲになっているのだ。

ええ?
こんなことって、ありえる?

手足やお腹なら、自分の口で毛を咥えて、
引き抜くことは可能だと思うが、
目の上である。
自分でどうにかできるとは思えない。

誰かが、毛を抜いたのだ。
やっぱりムギには、もう一軒、お家があるのだ。
わたしはそう思った。
そう思うよりほか、理由が見当たらない。

しかし、薬を塗りやすくなったので、手早く塗りこんだ。
しみて痛いのか、ムギが行ってしまいそうになったので、
慌てて、おかかでご機嫌を取った。
でも、そばに居てくれたのは、ほんの5分ほどだった。

会えたし、薬も塗れたし、
よしとしよう、と自分に言い聞かせて、
部屋に戻った。

でも、最近、とんと寝付けない。
精神状態が悪く、寝付ける気分にならない。
寝るのが怖いのだ。

やはり、ムギのことを色々考えてしまい、寝付けなかった。
明け方、頓服を足して飲んで、ようやく寝た。

夫から、朝、ムギに会えなかったとメールが入っていた。
それを読んでからまた寝たので、
ムギの夢を見た。

ムギの首輪が替えられていて、
ムギを取られてしまう夢だった。

起きて、ひどく落ち込んだ。

ムギを部屋で飼っていない。
だから、本当にそうされても、仕方がないのだ。
チップを埋め込む以外、
ムギはうちの子だと証明する手立てはない。

そして何より、ムギはムギの意思で、生きているということだ。
どこで暮らすか、
ムギに選ぶ権利がある。
日曜日の夜は、あの人と過ごす、と、
ムギが選択しているのなら、
わたしたちは、それを阻害する権利は全く持ってない。

つまり、いつ、ムギが帰って来なくなるか、わからないのだ。

居ても立ってもいられず、
ちまの世話をしてから、ムギのところに行った。

ムギ、小屋の中で寝ていた。

良かった…。ムギ、いてくれた。
眠そうな顔をしていたので、
「ムギ、眠いならいいよ、出て来なくても。」と言ったが、
ムギは義理堅く出て来て、くっついてくれた。

傷のところを明るい場所で見たが、
綺麗に丸くハゲている。
しきりに、前足でそこを撫でては舐める行為をしているので、
薬を塗るのは、やめておいた。

おかかをやり、お皿の餌を、手から何回か食べると、
ムギは車の前に行ってしまった。

夜は警備が忙しく、
昼間のうちに寝たいだろうから、
長居すると悪いと思い、切り上げて帰って来た。

夫が帰宅したときも、ムギはちゃんと小屋にいたそうだ。
あとでね、と言って、食事を終えて会いに行ったら、
ちょっとしか一緒に居てくれなかったそうだ。

毛がなくなったことについて、夫は、
誰かが抜いたとは考えていないようだ。
傷口を確かめるために、夫がちょっと強めに引っ張ったので、
それで夕べ、抜けたのではないか?とのこと。

もしそうなら、いいんだけど。

誰かが抜いたと思っているので、
ムギを取られるんじゃ?と思い、
わたしは一日、鬱々としている。

部屋で飼えば、色んな心配からは逃れられる。
そんなことはわかっている。
命だって永らえられる。
わかってる。

その代わり、毎日、布の上で、オシッコされる。
それに耐えられるような、強靭な精神を持っていない。
すごく弱くて情けないちっぽけな人間なのだ。

すべては、ムギが選んで決めることだ。
ちまと違って、すべてムギが決める。
わたしたちは、それをいつも、受け止めなくてはならない。

毎日会いたいとか、長く一緒に過ごしたいとか、
ものすごい勝手なことを言っている。
わかっているけれど、感情としては、
これもまた、どうしようもない。

ムギは、ずっと居てくれるだろうか…。
今は、自分の小屋を守るために、
毎日必死に闘って生きてくれている。
その生活、ずっと頑張れるだろうか。

昔は、犬は、外で飼うものだった。
庭に犬小屋を置き、
鎖でつないで飼っていた。
一日、2回、散歩に行く以外は、
ゴンだってひたすら、庭にいただけだ。

猫だって今のように、完全室内飼いをしましょうなんて風潮もなく、
自由に家を出入りして生きていたものだ。

ゴンちゃん、夜、寒かっただろうな。
ぼろ毛布を切ったのを与えただけで、
時々、それを引きずって、陽に当てていたよ。
犬も布団干すんだねえって笑った。

でも、あんな寒さの厳しい地方で、
毛布一枚で外、だなんて、
今思うと、ひどいよね。

ゴンちゃん。ごめん。
3本脚で生まれたくらいだから、
きっと体も弱かったよね?
気が強くて、いつもキラキラした目をしてたから、
まさか、たった3年で死んでしまうなんて、
思いもよらなかった。

一生、後悔し続ける。
でも、子供だったわたしには、
何の権利もなかったし、主張も通るわけがなかった。

ムギを、精一杯守りたい。

もう病気で倒れることがないように、
小屋をしっかり暖かくしてやりたい。
ここに居れば安全だって、ムギに思ってもらいたい。

ちょっと今、鬱状態が重い。

明日、カウンセリングなので、話してくるけど、
人と接するのがしんどい。

ちまを一番に考えるのは当然だが、
外で一人で戦っているムギのことが、
どうしても不憫で気がかりだ。

ムギが、ここに居て良かったって思ってくれるよう、
精一杯尽くしたい。

                                          伽羅moon3



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