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30倍の狭き門。

今朝、手術をする病院の主治医から電話があった。

入院前に、麻酔科で診察を受けて欲しいとのこと。
わたしが、精神科の薬を沢山飲んでいること、
胃カメラでの麻酔が効かなかったこと、
リウマチの治療を一時中断しており、
すでに、痛みやこわばりという症状が再発していること…。

多分、麻酔の副作用で、吐くことも含めて、
事前に面談をして欲しいということだろう。

来週のいつなら来られるか聞かれた。

木曜日にもう入院するのだが、
月曜日は、リフォームの立会いと、精神科の通院。
火曜日は、マッサージとシャンプー。
どちらもギチギチだ。

水曜しか空いてないのですが、と言ったら、
入院前日だけれども、それでも、ゆっくり面談してもらいたいので、
では水曜日に来てください、
終わったら外科に寄ってくださいと言われた。

丁寧で、ありがたい。
患者本位で考えてくれていることがひしひしと伝わる。
いい先生に出会えて本当に良かった。

お電話をお借りしてお尋ねしたら、
手術当日は、わたしが朝イチだそうで、
オペ出しは朝の8時半だそうだ。
これは、ずれ込みようがないので、夫も午後の計画が立てやすいだろう。


ずっと根を詰めて色んな作業をしてきたので、
今日はちょっと、ゆっくりしようと思った。

パソコンには、メールが数百件たまったままになっている。
それを確認しながら、削除しようと思って、
メール画面を立ち上げ、一番最初に戻した。

わたしがパソコンを持ったのは、2005年。
11年前、今の夫に、もらった。
そのときからのメルアドなので、そのときからのメールが残っていた。

自分の送ったメールが添付されたまま帰って来ているメールもあり、
その当時、自分がこんなことを書いていたのかと、
驚くような内容もあった。

でも、一番衝撃的だったのは、
ちまの件だ。


ちまは、夫が見つけた猫だ。

何かで言い争いになり、わたしはパニックを起こして、
過呼吸で倒れているその横で、
夫はわたしのパソコンをしれっと開いて、
「この子どう? 可愛いよ?」
と言ったのだ。

わたしの発作になんて、興味はもうなくなっていた。

お腹のぽっこりとした、小さい子猫だった。
白地に、サバトラ柄で、(一番近いのは、牛柄、だと思う)
ピンクのお鼻には焦げ茶色のぶちがあった。

可愛かったが、
見た目というより、なにか、性格的なことに、とても惹かれた。
何故、それがわかったのか、今となってはもう覚えていない。

問い合わせをしてみると、
返事が来たのだが、
ちまは、なんと、倍率30倍の、超人気子猫ちゃんだったのだ。

すごい数の問い合わせが殺到したそうだ。

見る目のある人が沢山いたってことだ。

だから、最初は、お譲りできると確約はできませんが、
会うだけ会ってみますか?
それでもいいですか?という応対だった。

わたしは、
ちまちゃんの幸せが一番ですので、そのことを優先させてください、
もしご縁が繋がらなかったとしても、
ちまちゃんの幸せを祈ります、と返事してあった。

幸い、早い段階で、会わせてもらうことが出来た。
保護主さんのマンションの、集会室で会ったのだが、
子猫が二匹居て、
扉を開けたとたんに寄って来たほうが、ちまだった。

すっごくちいちゃかった!

こんなにふわふわで、ちいちゃい生き物を、
初めて見た。

わたしが座って、ちまに挨拶すると、
ちまはまず、わたしの、長い前髪に飛びついて来た。
天真爛漫で、人見知りをしない、明るい猫のようだった。

もう一匹の三毛猫は、ちょっとオドオドしていたが、
ちまが、次に、あぐらをかいた夫によじ登り始めると、
競うように、二匹が夫の膝のなかにもぐった。

ちまが勝って、ちまは夫に登り、
腕の上に乗って、うとうとし始めた。

「かわいい…。」
そう言って微笑む夫のその様子を見て、
保護主さんは、この夫婦にちまを託そうと決めてくれたのだ。

その場で、即決してくれた。

30倍の確率を勝ち抜いたのだ。

そうして、「ねこ型天使ちゃん」であるちまは、
名前も、そのままで、うちのお姫様になってくれた。

ちま、という名前は、
保護主さんが、ブログで募集した仮名で、
「チビ+タマ」で、ちま、という由来らしかった。

わたしたちは、あずきちゃんとか、
みかんちゃんとか、考えていたのだが、
譲ってもらえると決まった帰りの車で、
声に出して呼んでみて、
あの子には、「ちま」が一番似合う!と一致したのだった。

見た目どうこうより、
ちまはやはり、性格が可愛い。
フレンドリーで明るくて人懐っこくて、
物怖じせず、いじけることも怒ることもない。

いつもシッポをピンと立てて、
ご機嫌なにゃんこだ。

あれから7年以上が経った。

もうちまは、膝にジャンプしてこなくなったし、
ねこじゃらしでも遊ばなくなった。
おっとりと暮らしている。

今年になって、お腹がゆるくなり、ずいぶん心配したし、
何回も高い検査を受けたが、
4ヶ月経って、やっと落ち着いて来た。

初めての下痢のときは、
お尻からお水が出て、
ちまは、「これ、どういうこと…?」と、
トイレの中で、立ち尽くしていたよ。

治って良かった。

今は、わたしのベッドの横に設置した、
ふかふかのゴージャスベッドで、
毎日一緒に寝ている。

一時は体重が6.5キロある大きなねこになったが、
今は5.4キロくらい。
でも、顔がちいちゃいので、身体とアンバランスなんだよ。

お嫁ちゃんが、「ちまちゃんに会いたい。」と言ってくれるくらい、
ちまは可愛がられている。

天使ちゃんだからね。

そうかあ。
倍率30は、すごかったなあ。

ちまがうちに来てくれて、本当に幸せだ。

ちまは、パパに、取り入ったんだよね。
決定権があるのはこの人だ、ってわかったんだよね?
必死によじ登って、もう一匹の子猫に勝ったんだもんね。


誰とも会わず、誰とも喋らなくても、
わたしは平気。

少し部屋を整え、
日によって、ガラスを磨いたり、
ガスコンロを磨いたり、
クイックルかけたりする。

自分の分だけの、
少量の料理を作り、
好きな音楽を小さく流しながら、一人で食べる。

こういう暮らしが、わたしは大好きだ。
わたしにはこれが合っている。
大人数はとてもじゃないけど、無理。

ちまと二人で、静かに暮らす。

これが最上の幸せ。

                                            伽羅moon3



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