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受け入れてもらえた。

毎日いろんなことがあって、
記事に書いていなかったが、
胃カメラを終了したあと、
父に手紙を書いた。

下書きをして、読み返し、
一晩置いてから、そぎ落として清書した。

従姉の娘ちゃんの花嫁姿の写真も同封し、
当日、カメラ係を承ったことなども書いた。

母には、感情を移入しない事務的な手紙を書いた。
一通の大きめ封筒に、父宛と母宛の手紙を入れて、
写真も入れて、出してあったのだ。


最初に父から手紙が来たとき、
誰に相談しても、
強く当たれば、強く返って来て、また傷つくから、
無難に、体調が悪いと返事をしておけばいいと言われた。

なので、嘘で塗り固めたそういう手紙を書いて出した。

けれども、わたしの中には、
怒りではないのだけれども、
このまま、真実を知ってもらえないまま、
父と別れることになるのは嫌だ!という気持ちが渦巻いていた。

父は、わたしに、どうか頑張ってくれと、願っている。
わたしだって、父の願いは叶えたい。

だけど、どうして母はお咎め無しで、
転んで流血しているわたしが笑顔を作らなくてはならないのか。

うらみつらみを言うつもりはない。
ただ、わたしは、何年もに渡って、必死に頑張ったのだという事実を、
父には、知っておいて欲しかった。

たった一行、
頑張って頑張って頑張った結果が、これなのです、と、
書きたかった。

それを、カウンセラーさんに相談した。
母のことはもういい。
もう頑張れないし、電話もできない。
うらみつらみももう言わない。
ただ、父には、必死に頑張ったことだけ、わかって欲しいんですと
訴えた。
手紙を書いてもいいでしょうか。

カウンセラーさんは、いいと思いますよ、と言ってくださった。

わたしはそれでかなり気分が落ち着いて、
すぐに書くことはしなかった。
そのうちに、体があちこち不調になり、
病院通いで忙しく、書く気分になれる日がなかなか来なかった。

胃に、ポリープが6個もあったと知って、
わたしは、父に手紙を書こうという気持ちになった。

「実は、お母さんの60年分の愚痴と悪口と、
自分はこんなにいい人!という自慢話に耐え切れなくなりました。
親孝行せねばと思い込み、何時間も、何日間も、何年も、
必死に聞き続けました。
一年半ほど前に、限界を感じ、
一生親子なんだから、話す内容を考えて欲しいと頼んだら、
だって大変やったんやからしょうがない!と切り捨てられました。
わたしは、頑張れないのではなくて、
頑張って頑張って頑張った結果、崩壊してしまったのです。
内容については誰にも言いません。
お父さんがわたしの味方をしてくれないことも重々承知です。
ただ、わたしはわたしなりに頑張った結果であることだけを、
知っていて欲しいのです。」

一行で済ませることは出来なかったが、
嘘で固めたまま、父に会うことは苦しすぎる。
なので、こんなふうに、本当のことを書いた。


投函したあと、怖かった。
多分返事は来るだろう。
父は怒るのではないだろうか。
もう帰ってなんて来なくていいと言われるのではないだろうか。

今日、返事が来ていた。
開封するのが怖かった。

手紙は、明るい口調で始まった。
従姉の娘ちゃんが可愛かったこと、
カメラ係り、お疲れ様とも書いてあった。

あとは、母が家にいながらにして熱中症になったことや、
近所の人が手術をした話などが書かれており、
二枚目に、
「お母さんとのことは、やはり想像したとおりでしたね。」とあった。

父は、ブラックな母を、認識しつつ、
あんなに仲良く暮らしているらしいのだ。
父は、母を悪く言ったことなど一度も無いのに。

すごい人だなと思った。
そして、わたしの見えてなかった頑張りを、理解してくれたと感じた。

親に、受け止めてもらえるって、
こんなに癒されることなの?

わたしはびっくりして泣いた。

子供はいつも、
「無条件」で、親に受け止めてもらいたいものなのだ。
これをすれば愛してあげる、というのは偽物だ。
母はいつも条件をつけた。

父は激昂することもしばしばあるが、
わたしは父のことが人として好きだし、
尊敬もしている。

それは、ちゃんと軸の通った人だからだ。

わたしは、母と二人で話すことも電話も無理だけれど、
大晦日には帰省します、と書いた。

それを父はとても喜んでくれていた。
まだ夏なのに、
楽しみに待っていますと書いてあった。

わたしは、実家に帰ると、
母の見ていないところで、
いつも父の手を握ってきた。
父も、笑顔になるだけで、
何も言わず、
ただ、握り返してきていた。

それが愛情の証なのだ。
それで充分、愛していることが伝えられてきた。


わかってもらえた。
受け入れてくれた。
嬉しい。
もうこれで、悔いはない。

父には長生きしてもらいたいが、
嘘のままではいやだったのだ。

辛いけれど、頑張って帰省するよと言ったわたしに、
父は感謝してくれた。

手紙を書いて良かった。
わかってくれる父で良かった。

また書こう。
手紙なら、こうしてやりとりができる。

                                          伽羅moon3


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