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嘘のような自分。

わたしはやっぱり、どこかおかしいのだと思う。

なのによく、息子をまともに育てられたと思って、
今更ながら、安堵する。

命を預かるという重圧に、
わたしは時々押し潰されそうになっていた。

前夫はまったく頼れないヤツだったので、
わたし一人が息子の命を守らなくてはならなかった。

もし、今のわたしだったら、
あんなふうにヒステリックになったりしない、とか、
あんな言葉で怒らなかったのに、とか、
反省することだらけなのだ。

母のような母親にはなるまいとして、
それを信条として頑張ったが、
繊細すぎるあの息子を、よくぞ育てられたと、
あらためて、胸を撫で下ろす。

素敵なパートナーと結婚できたから、
わたしの役割はめでたく終了した。

あとは、生きていようが死んでいようが、
息子を見守るのが仕事だ。


弱い子だった。
小学校に上がるまでは、いつ死んでもおかしくないと思い、
毎日が不安だった。

生物学的に、女の子のほうが丈夫で、
男の子が死んでしまう確立が高いので、
最初から、ちょっとだけ男の子が多めに生まれるのだ。

それが、医学の進歩で、死なせずにすむようになって、
男のほうが、ちょっと余る。
だから、息子がうまく結婚できるのだろうかと、
心配だった。

でも、たとえ、男性を連れてきて、
この人と暮らすって言われても、
反対だけはするまいと思っていた。

わたしはただ、
息子が自分の命を、自分で守れるようになるまでの間、
その命を預かり、
育てさせてもらったにすぎない。

もし許されるなら、来世でも育てたい。
今度は絶対に、傷つけないようにする。

今のこの、何にもできないわたしが、
育児をし、家事をし、働きながら、
人付き合いもしていたことが、信じられないよ。

合わない仕事もいっぱいやった。
合わない人とも付き合いがあれば我慢した。
もちろん、いっぱい失敗した。

唯一成功したのは、
息子を泣かせてやれたことだけだ。
恥ずかしくないよ、ママしかいないから泣いていいよ、と
肩を抱いて泣かせてやれた。

わたしがしてもらえなかったことを、
してやれた。


人は心に安定がなければ、
人を大事にすることも出来ない。
ガラスのハートだった息子が、
今はお嫁ちゃんにすごく頼りにされている。
すごいなあ。
よくあんなふうに育ってくれたなあ。

息子はわたしにも優しかった。

ちょうど今みたいに、不整脈がひどくて、
階段を登るのがしんどい時期、
息子は、ちょっとだけ先に階段を登りながら、
わたしに、ひじを、差し出してくれていたのだ。

手をつなぐのはさすがに恥ずかしいが、
はあはあ言うわたしを置いていくことはせず、
このひじに掴まりなよ、ってことだったのだ。
もちろん、お互いが無言。

優しいなあと思った。
人に優しくされるって幸福感を、
息子はずっとわたしに与え続けてくれた。


今は、ちまが目の前で、しどけない格好で寝ていると、
いとおしい。
冬場の、丸まった猫も可愛いが、
夏場のだらけた猫もいとおしいものだ。

毎日ずっと一緒にいるのに、
毎日可愛い。

天使ちゃんだ。

母からは優しくしてもらえなかったが、
今はわたしに優しい人がいっぱいいる。
あんな環境で頑張って生きていたわたしが、嘘みたいだよ。

                                           伽羅moon3

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