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時代錯誤な刑務所

バス乗り場はデパートの脇に数箇所あります。
わたしが乗るバスは「こども病院行き」です。乗り場を見つけて時刻表を見ると、間もなくバスが来るはずでした。

大急ぎで時刻表を手帳に書き写し、待っていますと、ヨレヨレのスーツを着た年配の弁護士と、これまた年配の婦人がやって来て、このバス停でいいのだろうかと思案顔でした。
弁護士なら調べていらっしゃいよ…と思っているうちに黄色いバスが遅れてやってきました。
整理券を取り、降りるときに表示の料金を払う仕組みでした。わたしは金額もバス停の順も頭に叩き込んでありましたから悠然と乗り込みました。
すると、先ほどの弁護士がヨレヨレしながらわたしに聞くのです。
『○○○にはこのバスは停まりますか。』わたしが降りる停留所です。
わたしは、ハイと言って頷きました。でも、わたしだって始めてなんだよ…。


バスは市内を曲がり、旧街道に沿って走ってからバイパスに入り、20分ほどの道程です。

わたしはバスを降りて日傘を差しました。弁護士と老婦人も降りて来ました。
ここから歩いてまだ6~7分かかります。早足で歩き出しました。頭の中の地図に沿ってスタスタと。
大きな交差点を渡って曲がると、堀が掘られ、生垣があり、その奥にコンクリートの塀のそびえる通りになりました。
静岡刑務所でした。バイパスから少し入ったところです。
人里離れており、山裾でタクシーで行くしかなく、寒い黒羽刑務所より、静岡で良かったと感じました。
彼にも、わたしにとっても。


やがて門が見え、堀を渡って入ろうとすると、門番の人が「面会ですか?」と聞きます。
ハイと頷くと、数字の入った丸いバッチを渡して、説明してくれました。
胸の良く見えるところにつけること、右手奥の、あの小さいドアから入って面会の申し込みをすること。
東京拘置所のような冷たい雰囲気も無く、とても親切でした。
写真で見ていた正面入り口から入らせてはもらえず、脇についた、小さなドアが面会の待合室の入り口だというのです。
丸い真鍮のノブを回しました。そこに廊下があって受付に通じるのかと思って開けました。

ところがそこがそのまま待合室だったのです。


言うなら昭和40年代の町の医院のような空間がそこにありました。
東京拘置所との余りの差に愕然としました。
これで、大丈夫なの?と心配になるような造りなのです。
あらためて、東京拘置所の建物とシステムがどんなに凄かったのかをここで知りました。


時代錯誤なこの刑務所に、彼は確かに居て、これからわたしは通うのです。


面会の申し込み用紙を記入しました。それを持って昼休みで閉まっている小さい窓口(木製の引き戸で、医院の受付そのもの!)の前で呆然としていると、先に居てソファに座っていた50代半ばと思われる女性が「その板の下に置けばいいのよ。」と教えてくれました。
拘置所で話し掛けられた経験がなかったのでビックリしましたが、お礼を言ってそのようにしました。やがて先ほどの弁護士と老婦人も到着しました。


会えるだろうか。午後の分の面会の受付開始にはまだ時間がありました。

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